被災地・北茨城市への整形外科診療応援/2013-12-20

  • 梶山 史郎
  • 山口大学 医学部 出身
  • 1997年 入局

 北茨城市は、茨城県の太平洋に面した最北端、福島県との県境に位置しています。常磐線大津港駅の近隣に北茨城市立総合病院があり、地域医療の中核を担っています。東日本大震災後、同病院には常勤の整形外科医師が不在となっており、ここ2年余りの期間、茨城県から全国医学部長病院長会議被災地医療支援委員会への医師派遣要請により全国の病院から医師が派遣されています。今回長崎大学整形外科より通算3人目の派遣医師として、同院整形外科での外来診療業務を5日間行ってきましたので報告いたします。

 2013年12月15日日曜日夜に大津港駅に降り立ち、病院敷地内にある宿泊施設に入りました。九州と比較すると夜の寒さが厳しく、特に到着した日は寒い印象でした。

 12月16日月曜日朝より12月20日金曜日午前中まで外来診療を行いました。木曜日のみ非常勤の整形外科の先生が毎週外来診察をされていましたが、ほかの日は応援医師のみで外来を行っています。地域柄高齢の患者さんが多く、基本的には変形性膝関節症や脊柱管狭窄症といった慢性疾患の治療が中心でした。整形外科診療が2週間ぶりということもあり、特に初日や二日目は患者さんの数も普段より多い印象でした。また、常に診療にあたる医師が変わるため患者さんの不安などもあるようで、常勤の整形外科医師を望む声が多く聞かれました。

 総合病院でありCT, MRIなども検査可能なのですが入院加療ができないため、外傷患者さんの救急車での受け入れや抗菌薬の点滴治療なども難しいのが現状です。しかしながら、外傷など緊急で処置が必要な患者さんが直接来院される場合もあり、近隣の2次、3次の病院へ連絡を取って処置や手術をお願いするということもありました。近隣といっても、高萩市や日立市、福島県いわき市などであり、車で30分〜1時間程度を要する場所になるようです。救急医療体制においても、病院および地域住民の方々の苦労が多いように思われました。

 このように、北茨城市立総合病院を取り巻く環境は大変厳しいようですが、院長先生を始め他の診療科の先生方、整形外科外来スタッフの皆さんはとても丁寧に患者さんの診療を行われていました。今回診療応援という形で外来診察のみ行いましたが、比較的スムーズに業務を行うことができました。また、被災された地域住民の方々は復興に向けて大変な中、非常にポジティブに頑張っておられ、こちらが元気をいただいたくらいでした。

 夕方までの診療が終わりますと時間の余裕がありましたので、周辺をランニングしたり、近隣の温泉やレストラン・居酒屋などに行ったりしました。港の近くということで、海鮮料理が名物で海鮮丼や目光(めひかり)という魚のから揚げなどをおいしくいただきました。また、震災の際には、茨城県北部も津波に襲われたとのことで、ランニングした大津港周辺の建物は損壊したところも多く、港の一部は完全に更地になっていました。一日も早い復興が待たれます。

 今回、被災地の医療支援ということで外来診療をさせていただきましたが、いろいろと考えさせられることも多い1週間でした。長崎も離島を抱え、十分な整形外科診療が行われていない地域があるのも事実です。また、全県的な外傷治療のシステム整備が不十分なことも共通の問題と思われました。北茨城での状況は他人事ではないということを再認識いたしました。

 最後になりますが、診療応援にあたっていろいろとお手伝いいただいた病院総務課の佐藤さんをはじめ、院長先生、外来スタッフの方々に深謝いたします。一日も早く常勤の整形外科の先生が着任され、北茨城市立病院整形外科での診療が軌道に乗ることを切に祈念いたします。