第11回 Japan Orthopaedic Trauma Seminar (JOTS)/2010-04-03

  • 日浦 健
  • 川崎医科大学 出身
  • 2000年 入局

 初めまして平成12年入局の日浦 健です。今回4月3日(土)・4日(日)に『 第11回JOTS 』に初参加させていただきましたので報告します。参加メンバーは平成11年入局の崎村先生、同期の福島先生、平成13年入局の千葉先生と私の計4名が大学から参加しました。
 『JOTS』とは、Japan Orthopaedic Trauma Seminarの頭文字をとったもので日本語では日本整形外傷セミナーとなっております。今回は岡山大学主催で岡山大学医学部敷地内の臨床第一講義室で行われました。毎回テーマが決まっており、今回は『寛骨臼骨折』と『脊髄損傷』の二つがテーマとなっており、いずれも整形外科の分野で生死に関係する重篤な外傷であり、知識を深めることは非常に大切であると考えNaice middleの4人?で参加して参りました。

 私も10年ほど整形外科医をしておりますが、経過の良い症例はあまり記憶に残りません。しかし、悔しい経験は今でも鮮明に覚えており、まさに骨盤骨折がそうです。
 一例目は交通外傷による骨盤輪骨折AO:B-1+前柱の開放骨折だったと思うのですが、Ilio-inguinal approachで前柱のplate固定を行ったときに腸恥隆起と恥骨枝の骨片を整復し始めた頃から出血が続き、出血3000ml超えて麻酔科stopとなり、後方のplatingを断念。その2週後に後方のplatingを行いましたが、骨折部は動くはずもなく骨盤輪が開いたまま固定することになりました。今回のセミナーで閉鎖動静脈と下腹壁動脈静脈の間に“corona mortise”と呼ばれる交通枝が存在し、恥骨上肢から腸恥隆起の操作をする際には破格の多い血管であるため損傷に注意する必要があるとの事でした。
 また、別の症例で後壁+後柱骨折の症例では、Kocher-Langenbeckアプローチで後柱頭側の展開が出来ず、やむを得ず中臀筋の大転子付着を一部切離して展開を拡大しました。内固定は無事に終わり、中臀筋も大転子に戻すように逢着しましたが、術後の外転筋力は弱く歩行困難が残存する結果となりました。今回の講義でアプローチのところでTrochanteric flip osteotomyを行えばより頭側に大きな展開が可能となり頭側の固定が可能となることが判明しました。つまり、Trendelenburg現象が予防できる可能性のある展開方法のひとつであると思われました。
 他にもGull sign、spur sign等の画像所見の見方や皮膚の所見として皮下脂肪壊死の兆候としてのMorel-Lavallee lesion(読み方は?)と言うものが存在することを知りました。その他にも知らない言葉が多く存在し、経験豊富な講師陣の話はとても勉強になりました。
 脊損に関しては、『SCIWORA(Spinel Cord Injury without radiographic abnormalities)』と言う病態のディスカッションも行われました。自分の中では高齢者の非骨傷性頚損と認識しておりましたが、欧米ではOPLLや発育性の脊柱管狭窄はほとんどいないらしく、しかもそれらは画像上のAbnormalityであるためSCIWORAには入らないとのことでした。純粋に小児の可動性が大きいことによる骨傷の無い頚損のことを示しているとのことでした。また、頸椎の脱臼骨折を3時間で戻したらFrankelAがCまで改善したことを『タニケットは2時間』、脊髄圧迫もそれと同じだよ、と言うふれこみに納得させられました。
 土曜の午後から日曜の午前中までみっちり勉強し、土曜の夜は懇親会で皆、親睦を深め、他大学の先生方と飲み明かし、みな同じようなことで苦しんでいることに共感を覚えました。また、2次会では同門の普段あまり合わない先生との交流もあり(関連病院から5名の参加)楽しい夜を過ごしました。人間いくつになっても学ぶことが大切なんだなぁと実感した2日間でした。また機会があれば参加したいと考えております。

写真提供:Dr KOH